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2011年8月26日金曜日

ギャラリーめぐり

<<まるゼミ番外エピソード14 >>
日頃はついつい美術館ギャラリー回りをさぽってしまう私ですが、時間と心に余裕ができると、ムクムクと「何かに触れたい心」が湧いてきます。この夏は久々にゆっくりな時間だったので、少しあちらこちらを覗いてきました。
今週に足を運んだのは「小山登美夫ギャラリー清澄」。この8月は2週間も夏期休日とかでギャラリーが閉まっていたのですが、やっと今週になって再開。現在の企画展をどうしても見たくて、待ってました!とばかりに参じました。
大江戸or半蔵門線「清澄白河」駅から徒歩7分。
リアルに倉庫会社の建物の一部にあるのでかなり場所がわかりにくい。
photo上 :ギャラリー建物への入口
photo下 :積み上げられた荷物群を横目に貨物用ELVでギャラリー階へ
お目当ての展示は「things on strings 展」。 国内外の7人のアーティストの合同展。糸の上をあるているような作品たちという意味で、つまり、既成のアート・ジャンルの境界線の際で制作しているアーティスト達の作品という主旨でのタイトルのようです。


この中の一人Jenny Watson 作品チェックが今回の私の目的。
オーストラリア在住の画家です。しかしキャンバスの代わりに様々な地模様のある布を一枚または複数枚を組合わせて張り、その上に絵を描きます。時には絵とともにさらに布やボタンや身の回りのアイテムを縫いつけたりもします。彼女が描く絵は、多くの場合、彼女の記憶の一部なのだそうです。馬や猫や乗り物や家具。。。そして彼女自身がその長い髪を金髪にしたり黒髪にしたり赤くしたりして登場します。一見とても幼くかわいらしく見える作品です。でもじっと見つめていると、不思議な懐かしさと寂しさが伝わってくるのです。キャンバスに用いる布自体が既に情報を備えているために、彼女が加筆する絵の部分はごくわずかなボリュームなのですが、それだけにその記憶の美しさと儚さが強調されるのかもしれません。
http://www.tomiokoyamagallery.com/exhibitions/things-on-strings-tkg-2011/#fragment-11

実は彼女Jennyさんは私の海外の友人の一人。
一昨年の春に、私がパートナーと共にオーストリアのウイーン郊外の街KremsへAIRの招待アーティストとして2度目の滞在をした折りに、専用のアパートメントで3日間だけでしたがご一緒した方なのです。このAIR-Kremsが提供するアーティスト用住居アパートは常時5組が滞在可能で、それぞれの活動内容によってその期間や時期もさまざまなのですが、我々が現地到着した3日後に彼女が出発するという「すれ違い」なタイミングでありました。
http://www.air-krems.at/content-en/studio/the-studios
ところが、到着初日に彼女の部屋で紅茶を御馳走になったり、翌日には滞在アーティストの一人の誕生日会を我々の部屋で行ったり。で、3日目の夜は、旧市街のレストランで彼女の送別食事会を開き、別れの当日はハグして見送るといった関係となりました。これ、まさしくJennyさんのチャーミングで人懐っこいキャラクターによるマジックです!そしてその後、何度かメールでやりとりしていたところ、その年の年末に彼女がパートナーと御一緒に日本来日!ということで、なんと2009年大晦日と2010年元旦は横浜で、我々は彼女とその彼と、そしてその彼の同僚の方と一緒に過ごしたのでありました。元旦ディナーは、我々のhanasaki-houseに置き畳を敷き詰めて和風設えにして、おせち料理と和牛しゃぶしゃぶを振舞ったのが良い思い出です。
「things on strings 展」
小山登美夫ギャラリー東京 7F
会期:開催中~9月3日(土)まで
またこの倉庫ビルには、1階下のフロアにも複数のギャラリーが並んでいます。ギャラリーhiromiyoshii では、泉太郎氏の個展「勇ましいあくび」。 そのインスタレーション作品は会場いっぱいに置かれた家具群。ところがみ~んな傾いて置かれてます。ん?脚部が不均一にカットされているのかな?と思いきや、その足元に注目すると、正体不明な小人達が渾身の力で机やら椅子を持ち上げていました。
photo上 :ランダムに傾斜して無造作に置かれた家具で埋まる会場
photo下 :左はスニーカーのかかとを持ち上げる+右は机脚部を持ち上げる
泉太郎 「勇ましいあくび」
hiromiyosii
会期:開催中~9月3日(土)まで
http://www.hiromiyoshii.com/


http://www.tokyo-park.or.jp/park/format/outline033.html
アートを堪能して倉庫ビルを後にして、駅まで歩く道中に「清澄庭園」があります。入園料150円にてこちらで休憩。泉水、築山、枯山水を主体にした回遊式林泉庭園にてこの日の芸術な一日を締めくくったのでありました。やっぱり日本庭園の空間藝術はスゴイ!


by マン・マル


2011年8月12日金曜日

1年生 講師向け 初プレゼンテーション

8月に入りました。まるゼミ1年生クラスは、1週目は前期評価のための滑り込み提出を。そして2週目はこの金曜日の専攻内講師陣へ向けての初プレゼンテーション調整の時間でありました。

これは、インテリアデザイン専攻の全講師陣を招いて、まるゼミ課題として前期ラストに1年生メンバーが取組んだ「One Mobile Cube」の作品を披露するというものです。当専攻でデザインを学び始めて3ヶ月半の彼らが、それぞれどんな資質特質を持っているのか、どんなスタートを切ったのかの事実を講師陣が共有するために催されました。なので、このプレゼンテーションで優劣の点数を付けて順位を決めるわけでもないし、成績に影響することもありません。けれど、1年生メンバーにとっては、先輩メンバーも含めたこれだけの人数の前で作品発表することは初体験。開始前、会場準備をしながら、私マン・マルにも彼らの緊張感がヒタヒタと伝わってきます。これから様々な場面で感じることになるこの独特な緊張感に、心身を馴らしてセルフコントロールできるようにならなくてはね!

●まるゼミ課題1「One Mobile Cube」
3m×3m×3mのボリュームを持つ移設可能な仮設空間デザインの提案です。
今年は、大規模災害時の共同非難生活施設に設置することを主目的とする条件を付加しました。体育館等の大規模空間内への屋内でも或いは屋外でも設置環境は任意。災害時以外の日常の都市空間での利用も視野に、その用途機能、利用対象者や利用システムを自由に想定デザインしてもらいました。



学生メンバー自作品のプレゼンテーションが一人ずつ終わるごとに、即座に講師陣からさまざまな質疑やコメントが飛び交います。作品本体のテーマ設定や造形デザインへのコメント、プレゼンテーションにおける言葉の選び方や説明順序へのアドバイス。また例えば製図やCAD担当の講師からは「図面として成立してない!作図の授業で何を学んでるのか!」等のかなり辛口なダメだしもあったり。しかしながら、総じて、災害のために不自由な生活を送る人々に思いを馳せてのそれぞれの提案は、多くの問題点は抱えるにしても意味あることと評され、会は終了となりました。

その後は模型を囲んで発表者と講師や先輩らで歓談!初の試練を終えたメンバーのほっとした表情の中に「うまく話せなかった」という悔しさも混じっていたのが印象的でありました。

by マン・マル