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2010年9月25日土曜日

アートでまち再生

<<まるゼミ番外編エピソード 9>>


前回ブログで「建築ツアー決行」と書きつつ
ギャルリ・タイセイのみで話が終わってしまいました。。。。
続いて向かったのは「黄金町バザール」です。


ギャルリーを出て 北西へ徒歩10分足らず。大岡川を目指します。
橋を越えて左に折れると もうディープ地帯へ突入です。
ここから黄金町までの川沿い=京浜急行高架沿いの街に
さまざまなアートな仕掛けが挿入されるのが「黄金町バザール」。
これは 3年前から始まったイベントで 
横浜市バックアップの下でNPO法人が手掛けています。
このエリアはいわゆる違法飲食店街がひしめいていた地区だそうで
市がそれらを一掃した後の まち再生プロジェクトなのです。
そんな背景もあって 1年目は けっこうな警察官の数に
ちょっと緊張したものですが だいぶと落ち着いてきた感じです。


今のご時世。
その土地で栄えていた産業構造も 目まぐるしく変わるし
住人の子供や孫も ずっとその地にとどまってくれる確証もない。
「まち」が存続するためには 自己浄化+自己啓発+自己変革を果たす
「地元力 (ジモトリョク)」 が必要なのかもしれません。


ちょうど先週 地元ご当地グルメの祭典「B-1グランプリ」
覇者が号泣しているニュースがテレビを賑わせていました。
地元関係者・地域住民・自治体が一丸となって
「”食” で まちおこし」 を目指す地方にとって 
成功への扉になっているB-1。
実際に 上位入賞を果たして一夜開けると 
圏内外から人が殺到し 街の風景が一変するそうな。


横浜は 都市部でもあり 地域でもあり。。。。
でも 黙っていても 内外から資本出資が集中する一等地で無い限り
都会にあっても 結局 まち再生は地元力が原動力であり
その結集のためには軸となるコンセプトが不可欠。
で 今回のこの「黄金町バザール」の軸は「アート」という訳です。
アートって 万人受けするの ちょっと難しいんですけどね。
グルメの 「あ~おいしい~幸せ~」とか
温泉の 「あ~気持ちいい~天国~」とかみたいに 
シンプルじゃないんで。


今年 私が散策した中では 竜宮プロジェクトは興味深かったです。
廃墟化していた古い旅館を建築家とアーティストが再生したもので
1階エントランスにCAFE、奥や2階の部屋がギャラリーになっていました。
旅館という 非日常空間として 長い年月を生きてきたこの建物は
それ自身がとってもエネルギーをもった空間でした。
浴室の怪しげな雰囲気の装飾とか
2階の各客室の入口廻りの戸建風デザインとか
共同洗面スペースの壁に施されている「遊泳する鯉の群れ」とか。
百聞は一見にしかず。 一度 実際に空間体験を。
  http://www.koganecho.net/koganecho_bazaar_2010/
 
アートやデザインに挑む時 
その舞台となる空間の特性ってとっても重要なんです。
私が5年前の横浜トリエンナーレの関連イベントとして
まるゼミ卒業生らとアートを制作して一般公開しましたが
その舞台は 古い民家1軒まるごとでした。
そう。この前の6月の南仏での活動も 中世の街並みと建物が前提でした。


力がある空間に出会うと 
なんだかムズムズしてしまう私です。
「黄金町バザール」は10月11日まで。
by マン・マル


Architecture Planet Project >>
建築家メインのプロジェクト。
その中の「レッドライト・ヨコハマ」がユニーク。
もちろん ♪ブルラーイト・ヨコハマが伏線?

2010年9月24日金曜日

ギャルリー・タイセイ

<<まるゼミ番外エピソード 8>>


祝日ラッシュの今週に 地元横浜の建築ツアーを決行してきました。


まずは ギャルリー・タイセイ。
「ギャラリー」じゃなくて フランス語読みの「ギャルリー」です。というのは ここは 20世紀の大建築家ル・コルビジェに特化した展示施設だからです。(コル(コルビジェの通称)の活動拠点はフランスでした。)運営は大成建設さん。以前は本社がある新宿センタービル内にありましたが昨年に横浜に引越しされ 私としてはとっても便利になりました。
 
コルはもうとにかく偉大過ぎて、彼を敬愛する建築家やデザイナーもあまりに多くて、彼を扱う書籍雑誌も無数にあって、つまり コル情報は巷にあふれかえっているのですが。。。。


ここギャルリー・タイセイさんは、展示の基本に忠実な感じで とってもシンプルにわかりやすく
コルの仕事をプレゼンテーションしてくれます。きちんと内容や価値を掌握しきった上で展示構成されているな~というのが伝わってきます。広くはない空間ながら けっこう密度あります。ゆえに デザインを勉強する人・コル初心者には とってもお薦めです。でも 時折 かなりの貴重なコレクションもあったりして、「おおっ」という時もあったりします。コル上級者でも きっと油断はできません。
▲ リーフレットもとってもわかりやすい!

現在の展示は10月2日まで。
けれど10月下旬からは 
また違うコル・ネタで展開されるようです。
横浜に来られる機会があれば 
寄り道でいかがでしょうか???
入館無料ですし。
http://www.taisei.co.jp/galerie//gallery.html  
         
<<オリジナルbookmarkをゲット!! 
by マン・マル



2010年9月17日金曜日

卒制(1) 中間・企画チェック

9月も後半に突入。
まるゼミは7月いっぱいで前期を終え、2か月の休みを挟み10月より後期がスタートします。


1年メンバーはいよいよ本格的に空間デザインに挑み、知識のインプット+オリジナルな世界の構築トレーニングに励むこととなります。そして2年メンバーは 卒業制作です。まるゼミ後期の初回時に いきなりの企画案提出ということで、特別ゼミを開講 基本テーマの仮承認と進捗状況チェックを実施しました。


この日は休憩を挟むものの 5時間の長丁場。けれど集中力が途切れることなく 良い時間になりました。まずは最初に メンバー全員が集まって各自の基本テーマを発表。マン・マルなりのアドバイスコメントを投げかけつつそれぞれの方向性を明確化していきます。その後 各自でブラッシュアップ。さらにスケッチを加えたり、急遽、ネットでリサーチしたり。そして最後に クラス担任先生を交えて企画提出2週間前の現時点での企画草案をプレゼンテーション。


この日の私の感想としては、「今年も 面白そうな作品が出来上りそうな予感」です。終了後の皆との一杯!が 美味でした。
入学から1年半の期間のまるゼミでは 基本的に「制約課題方式」です。様々な枠組みを与えられ その条件下での空間デザインをトレーニングします。社会で息長く仕事を続けていくためには
バランス良く すべての肉体の部位を鍛える必要あり!との考えからです。しかしながら この卒業制作は 最初で最後の100%自由作品。自分の得意部位を大いに活躍させちゃってください!というもの。自分の世界観一色での作品だって大歓迎!という場なのです。自由って楽しい。でも 全てを自身の責任で決めていかなきゃならない。期間も6カ月なんで 今迄の課題と違って じっくりゆっくり取り組める。でも実は 半年ものモチベーションキープ=自己コントロールが逆にけっこうキツイんです。


就活がまだあったり またはインターンシップや 内定先研修があったり。また 学外イベント作業も 秋からクリスマスにかけて あれこれ。ということで、何かとゼミに集中し辛かったりしますが、今のうちにエネルギー蓄えてまた秋に再開しましょう!!


by マン・マル

2010年9月11日土曜日

歴史との共存

<<まるゼミ番外エピソード 7>>


先日 ある方のお祝い食事会に行ってきました。横浜スタジアムに面する
昨年12月にオープンした13階建てのホテルです。


実はここ。3年前までは「ストロングビル」という歴史的建築物が建っていた場所です。戦前の1938年に外国商社Strong&Co.の日本支店として
横浜出身の建築家が設計した 鉄筋コンクリート建築でした。解体される直前まで コンビニやCAFEや衣料品店が普通にテナントとして入っていましたし、また風情あるたたずまいゆえ映画やテレビのロケ地としてよく利用されていました。


しかし。建築家協会等からの保存要望のラブコールもむなしく解体が決定。ただ 新築建物の一部には 旧建物のデザインが再現されています。低層部の外観と1階エントランスのみですが、少々の既存部材も再利用されているとのこと。確かに、まあ、そんな雰囲気は ちょこっと?ありましたけど。。。。。

               ★旧ストロングビル跡地(横浜市中区山下町)


古い建物の取り壊しを反対する人々。。。みたいなNewsが時折り報道されます。反対運動が功を奏で取り壊されずに補修して使用することになったり、一部のみを残してでもほとんど大々的に増改築されたり、基本的に新規建替えだけれど一部に記念碑的に取り込まれたり、あるいはまったく別の新築建物になってしまったり。。。その土地に建つ建物の運命はさまざまです。


私が暮らす横浜は、幕末に国際港デビューした街ですから、関内周辺に近代建築といわれる歴史的建築物が多いですし、外国人居留地だった山手エリアには幾つもの洋館が現存しています。15年前に横浜に移り住んだ頃、私はこの山手地区の洋館再活用の市民プロジェクトに参加していたことがありました。専門家だけでなく、一般市民の中にも本当に古い空間を愛しその保存に精力を傾けている方々がたくさんいらっしゃいます。けれども不幸にも歴史的空間達は姿を消し続けています。


<まるゼミ番外エピソード 5>でお話した今年6月のフランスでの私のアート制作は、実は、現地の認定歴史的建築物が舞台でした。ヨーロッパでは当たり前に古い建物や街並みがそのまま残され、しかもそれらは立入禁止ロープが張られることなく、きちんと今を生きる人々の日常生活の場となっています。欧州の人達の歴史と共存するモラルとセンスはピカイチ。日本人も頑張らねばと痛感します。

だってやっぱり。日本の伝統デザインって素晴らしいから!世界中の多くの人達が 心の底からそう思ってくれているんです。
日本って かなり → すごいんです。


by マン・マル