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2011年2月5日土曜日

インスタレーションアート「分子の森」

<<まるゼミ番外エピソード12>>

HAアワードの熱気あふれる会場を後にした翌日の1月30日。
私は、山手芸術祭のアート展示制作のために、横浜は山手の「ベーリックホール」のリビングルームで一日を過ごしました。朝9時に、材料道具が詰まったキャスターバッグ2体を転がし現地に到着。。制作には、昨年に横浜・馬車道で私が催した講演報告会で司会ナビゲートを引き受けてくださったSさんがお子さんサポーターを連れて参加くださいました。子供は風船、大好きですよね。まずは手分けして、せっせと約1000個の風船を膨らませます。そして連結作業。この日も当館自体は通常通りの開館状態なので、天気の良い日曜日とあって、多くの見学者が不思議そうに私達の制作風景を遠巻きに見てました。私達はとにかく、時計とにらみ合いながら作業集中!陽が傾き始め、閉館時刻が迫り来る中で分刻みの最後の吊り込み作業を終えて、なんとか設営完了となりました!

透明バルーンは昨年の仏モンペリエでの作品「UKIGUMO」にて出会ったマテリアルです。この材料が持つ魅力に少々とりつかれてます。宙に浮くバルーンは当然に軽くて、その浮遊感が最大の魅力。でも透明なバルーンは、時にはガラスのように硬質に見えることがあります。パリンと割れて砕け散りそうな薄いガラス玉のような緊張感が実は隠れたもう一つの顔。そしてまた時間経過と共にどんどんと白濁し、その表情を変えていくところもお気に入りです。

作品タイトルは「分子の森 -molecular cluster」。
80年の歴史を持つこの建物空間の記憶の可視化。。。がコンセプトです。様々な人々がこの場所で様々な行為を繰り広げてきました。建物はそれらの思い出をしっかりと記憶に刻んでいるはずです。目に見えないはずの観念的な記憶を、目に見える形にしたら。。。一人ひとり、一つひとつの記憶がまるで分子構造モデルのように連なって出現したというストーリーです。宙に浮いていたり、床に転がっていたりして、実はこの空間を訪れる私達を取り巻いている!というものです。

今回、このノスタルジックな歴史建造物の空間で、マル一日をかけて制作というクリエイティブな時間を過ごせたことは至福な経験でした。また5日間と短い展示会期ではあるけれど、自分の作品がこの空間の一部と化している幸福感も贅沢でありました。展示を知って見に来てくれた方、建物を見学に来て奇妙な物と遭遇してしまった方。。。。いろいろな方に目にしていただけ有り難い限りです。

作品は5日土曜午前に全撤去となりました。
マル一日かかった制作に比べ、後片付けは1時間。儚いものですねえ。
山手芸術祭はまだまだ続きます。
晴天が続くこの季節、ぜひ非日常空間にお出かけください!

by マン・マル